CDCの新型コロナワクチン推奨のまとめ

ついにFDAからCDCにバトンが渡り、12月12日本日、CDCの予防接種に関する諮問委員会であるACIPはファイザーのワクチンの推奨を取り決めました。

投票によって決定した最も重要な点は以下の推奨です。

「緊急使用許可下において、16歳以上の方にファイザーの新型コロナウイルスワクチンを推奨する。」

これに伴い、詳細についても推奨が決まりました。後日CDCが正式にMMWRというCDCが発行するレポートにまとめられる予定ですが、ACIPで議論された推奨を、特にポイントとなる点にしぼり、訳をまとめました。(訳には気を付けましたがミスもあるかもしれませんので、自己責任で正式にはCDCのこちらのスライドや発表を参考にしてください。正式なMMWRレポートが出次第、追記します。)

基礎疾患を持つ方について

  • ワクチン接種が禁忌ではない基礎疾患を持つ方は、ワクチンを接種してもよい。(注:免疫不全の状態の方は別途の記載となっています)
  • 第2/3試験では基礎疾患を持つ方であっても、基礎疾患を持たない方と同レベルの安全性と効果を認めている。

アレルギーについての注意事項や禁忌事項

  • ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンのいかなる構成物に対してもアナフィラキシーのような重度のアレルギー反応を持っている方は接種はしてはいけない(禁忌)
  • (他のワクチンの場合と同様に)アレルギー反応にすぐに対処できる薬や医療的行為がすぐに可能であること
  • イギリスにおける重度アレルギーの症例を踏まえて、いかなるワクチンや注射薬に対してであっても重度のアレルギー反応の既往のある方は、現時点では接種は不可とする。➡12月19日更新、医師と相談のうえで接種可能となりました。
  • その他の重度アレルギー反応(例えば食物アレルギーに対するアナフィラキシー)の既往の方は、接種は可能であるが、接種後に30分は観察すること。
  • その他アレルギーのない方は、15分の観察を設けること。

妊婦について

  • 現時点で本ワクチンの妊婦に対する安全性のデータはない(動物実験の実行中で、人での試験は計画中)
  • しかしながら、mRNAワクチンは生ワクチンではなく、mRNAの部分は速やかに通常の細胞のプロセスによって解体処理され、人の細胞の核の部分には入ることはない
  • 妊婦が新型コロナウイルスにかかると重症化するリスクが高く、さらに胎児に対するリスクも上昇する可能性がある
  • 以上から、妊娠中の女性もワクチンを接種することを選択してもよい。(つまり接種不可とはしない)かかりつけ医と相談して決定することもよい手段(流行状況、仕事での感染リスクなどを勘案して)。

授乳中の女性について

  • 母乳や乳児に対するmRNAワクチンの影響についての安全性のデータは現時点ではない
  • しかしmRNAワクチンは生ワクチンではなく、授乳児へのリスクはあるとは考えられていない
  • 以上から、授乳中の女性もワクチンを接種することを選択してもよい

さて、私もオンラインで会議を傍聴しましたが、やはり妊婦や授乳中の女性の対して、ワクチン接種を禁止するのではなく、選択する権利を許可した点は印象的です。この点においては、アメリカ産婦人科学会もCDCの決定を支持しており、リスクの高い妊婦にも予防接種の機会を平等に与えるべきだ(選択できる権利を与える)としています。彼らの主張としては、迅速に解体されるmRNAのワクチンで生ワクチンでもないため、胎盤を通過して胎児に影響がでるという科学的根拠はないという主張でした。

推奨年齢の下限について

また、FDAの会議でも議題に上がりましたが、今回18歳以上ではなく、16歳と17歳も推奨に含めている点がACIPでも議論されました。確かに一部の委員が指摘されたように成人と比べてこの年のグループのファイザーの被検者はまだ少なく、データがしっかりとあるとはいえません。ただ、多くの他の委員が賛成した理由は、16歳や17歳が生物学的に18歳~25歳と大きく異なるとは考え難く、今までのワクチンでもこの年代の1、2歳の差が問題になった例はない点、また高齢者に比べて感染の頻度などが少ないとはいえ、10代後半の子でも重症例も認め、感染を広げる可能性もあることなどから、決して無視できる年代ではない点などを踏まえてのことでした。

しかしながら、やはりデータはあればあるほど安全性の根拠が増してより安心できるものです。現在、ファイザーは12歳以上の小児で治験を実施中ですが、振り返ってみると、我々のワクチンのグループは夏ごろから成人での治験である程度安全性が確認され次第、妊婦や小児での治験をできうる限り迅速に行うべきだと全米会議や論文を通じて声を上げてきましたが、やはり今になってこうしたデータが不足している点を指摘されて急いでその治験の準備をしているのをみるのはつらいですが、未来への学びとして捉えていきたいです。

いずれにしても、ここまで効果が高く、かつ安全性のプロファイルの揃ったワクチンができたことは市場に出回る前としてはこれ以上ない成果であり、希望としかいいようがありません。市場にでた後は、いよいよ我々CDC予防接種安全室が春からずっと準備を続けていた安全性モニタリングシステムの出番です。引き続きワクチンの安全性をしっかりと調査していきます。

「私は順番が来たら迷わず接種します」とACIPの議長のロメロ先生が力強く述べて本日の会議を締めくくったことが印象的でした。いつも気さくに声をかけて下さっていたロメロ先生ですが、この時の彼の頼もしさ、そして国の未来を考えたプロフェッショナルさに今日は本当に感動しました。

本日の会議の詳細はこちらからアクセスできます。

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