ワクチンの同時接種は安全?効果は?

このワクチンの同時接種とは、異なる2種類以上のワクチンを同時にからだの違う部位に投与することをいいます。

ちょうど、この同時接種の概念が日本に入りはじめた2000年代の頃に、私は日本で小児科診療に携わっていましたが、いままで個別接種、つまり一本・一本のワクチンを違う日に打つことが主流だった日本では、小児科の先生の間においても当時意見が分かれていたことを覚えています。

しかし、昔も今も、世界中の国で日々行われている一般的な接種方法は同時接種であり、今の日本もこの同時接種が主流になってきています。事実、日本の多くの小児科専門医が所属する日本小児科学会では、この同時接種を安全で効果のある方法として積極的に勧めています (よりオフィシャルな声明は下記の参考文献のリンクをご覧ください。)。1) 非常に明瞭な推奨が書かれており、不安に思われているママ・パパにお勧めのリンクです。

ワクチンを同時に打っても安全なのでしょうか?

おそらく、多くの親御さんがはじめて同時接種をみたときはこの質問がでてくると思います。これは、なにも日本の親御さんだけでなく、同時接種が一般的なアメリカでも、はじめての子をもつ親御さんは同じ気持ちになります。

結論からいいますと、ごく一部の過去の例外を除いて、現行の推奨されている各月齢において必要なワクチンを同時に打つことは、別々の日に一本ずつ打つ個別接種と同様に安全な接種方法です。アメリカでは、何十年も前からこの同時接種が行われておりますし2-4)、そもそもアメリカに限らず世界中で行われてきた実績こそがその安全性を物語っているとおもいます。しかし、常に新しいワクチンや新しい接種スケジュールがでてきますので、引き続き安全性をモニタリングして相性の悪いワクチンの組み合わせがないかチェックすることは、極めて重要だと考えています。

例外についてですが、ごく一部の組み合わせで熱性けいれんがわずかに増えたという過去の報告もありますが、その後の安全性チェックのモニタリングでは、明らかな持続的増加は認めておらず、CDC(アメリカ疾病予防管理センター )もアメリカ小児科学会も引き続き同時接種を勧めています。3,5,6) この点について詳しく知りたい方は、こちらの詳細な記事をご覧ください。

同時接種は効果が落ちたりしませんか?

一部の例外の場合を除いて、ほぼすべてのワクチンは同時に打つことができ、効果も同等です。また、同時にうったからといってこどもの免疫細胞が混乱することもありません。ひとの免疫は、驚くほど多くの抗原に一度に対応できるのです。7)

一部の例外の場合とは、無脾症やHIVなどの免疫不全の状態のお子さんに、肺炎球菌ワクチンと髄膜炎菌ワクチンをうつ必要がある場合、同時に投与すると効果が落ちてしまうため、4週間は空けて投与する推奨となっています。また、肺炎球菌ワクチンの13価ワクチンと23価(通常は大人用)のワクチンを両方打つ必要があるときも、同様の理由で8週間空けて投与することになっています。

こういった特殊な状況でない限り、効果を保ったまま同時に打つができるので安心してくださいね。

でもいっぱい注射するなんて痛々しいです!

私も、その思いには同意です。ですので、ワクチンを作る会社のみなさんも、何とかして注射を減らせないかと努力しており、その一つがコンビネーションワクチン(混合ワクチン)を作ることです。3種混合とか、4種混合ワクチンといったもので、違うばい菌をターゲットにしているワクチンを、うまく調合して(残念ですが液をただ混ぜるだけではできません。。)、効果を保ちつつ、ひとつの注射液にまとめる方法で、これができると、打つ注射の数が減ってみんなハッピーになります(たとえば4種混合なら、1本の注射で4種類のワクチンをうつことができます)。

日本で4種混合ワクチンが始まったときは感動したのですが、アメリカに至っては、すでにかなり前から5種混合ワクチンが主流で、さらに、もうすぐ6種混合ワクチン(Vaxelis)も提供が始まるので、日本人医師としては、なぜ日本の子ども達は多く注射が必要になるんだと歯がゆい思いがあります。日本でも、どんどんコンビネーションワクチンが普及していくことを願っています。

ただ、やはり一本・一本別の日に繰り返し打つよりも、痛々しいけどいっぺんに済ましたほうが、いちいち何度も病院に通わなくてもすみますし(仕事を休まないといけない日も減ります)、何度も別の日に注射しにクリニックにきて痛い思いをするよりはトラウマになりにくいともいわれています。そしてなにより、一本ずつにすると、その日に打たなかったワクチンで守れるはずの病気に、いつでもかかってしまうリスクをしょってしまうことになります。つまり、日をずらせば、ずらすほど、その分、赤ちゃんはばい菌に無防備な期間が長くなってしまうというリスクです。

ですので、子どもたちを早く感染症から守り、かつ親御さんの時間的・経済的負担を軽くすることのできる同時接種を、世界中の多くの小児科医は勧めているのです。

参考文献)

  1. 日本小児科学会の予防接種の同時接種に対する考え方 2011. https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=47
  2. The National Center for Immunization and Respiratory Diseases, Centers for Disease Control and Prevention. 13th Edition of Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases 2015 (PinkBook). 2015 Public Health Foundation, Washington, DC https://www.cdc.gov/vaccines/pubs/pinkbook/genrec.html
  3. Centers for Disease Control and Prevention. General Recommendations on Immunization—recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP). MMWR Recomm Rep. 2011;60(RR-02):1–64
  4. King GE, Hadler SC. Simultaneous Administration of childhood vaccine; an important health public policy that is safe and efficacious. Pediatr Infect Dis J 1994;13: 394-407.
  5. Red Book: 2018 Report of the Committee on Infectious Diseases, 31st ed, American Academy of Pediatrics, Itasca, IL 2018.
  6. Duffy J, Weintraub E, Hambidge SJ, et al. Febrile Seizure Risk After Vaccination in Children 6 to 23 Months. Pediatrics. 2016;138(1):
  7. Offit PA, Quarles J, Gerber MA, et al. Addressing parents’ concerns: do multiple vaccines overwhelm or weaken the infant’s immune system?. Pediatrics. 2002;109(1):124-129. doi:10.1542/peds.109.1.124

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